地下6メートルに咲く花 ウクライナ地下学校 戦時下で生きる十代の思い
北東部ハルキウ中心部の住宅街。案内されたのは、空き地にぽつんと建つ小さな倉庫のような建物だった。本当に学校なのか半信半疑でドアを開けると、すぐに階段があった。地下6メートルまで下っていくと、校長のラリサ・イゴレブナが「私たちの地下学校にようこそ!」と誇らしげに招き入れてくれた。
内部はうって変わって、カラフルな壁に色鮮やかな絵が描かれていた。地上からは想像できないほど広く、17の教室が並び、食堂や保健室もある。バレンタインデーに向けた赤いハートが飾られた廊下は、休み時間になると子どもたちのおしゃべりで活気づいた。
小学6年生の英語のクラスで「地下学校とオンライン授業のどちらが好きですか?」と尋ねると、口々に「地下!」という声が上がった。手を挙げた男児が「友達に会えるからです!」と覚えたての英語で言うと、みんなうんうんと強くうなずいた。侵攻が始まってから3年間、ずっとオンラインでの学習だったためだ。

鮮やかな伝統衣装を着た子どもたちは、地下に咲き誇る花のようだった=2月12日、ハルキウ(写真はすべて村山祐介撮影)
アリナ(12)は「学校には行けず、ずっと家にいて、たまに散歩するくらいでした。でもここには友達がいます。新しい友達もたくさんできました」と話した。

アリナ
ロシア国境から30キロしか離れていないウクライナ第2の都市ハルキウ市は侵攻以来、日常的に攻撃にさらされてきた。市によると、市立184校のうち134校が被害を受け、4校は全壊した。これまでに地下鉄駅構内で7カ所、地下学校は8カ所が完成し、約1万7千人が対面で学べるようになったという。だが77校の約7万5千人は今もオンラインだけの授業が続いている。

廃墟になった高校=22年6月15日、ハルキウ
25年2月に開校したこの地下学校は、周辺地域の8校から1438人の生徒・児童を受け入れ、午前と午後の2交代制で運営されている。土曜は幼稚園と音楽学校としても活用されており、子どもたちが友達や教師とリアルに触れ合う貴重な場となっている。
でも、毎日通えるわけではない。ラリサは口惜しさをにじませた。